Ich bin da/I am here/私はここにいる

星善之とのパフォーマンス
陶器・敷石・アスファルト・ビニール・ホース
サイズ可変
2024

 2023年8月より、ドイツ北西部の都市ミュンスターに1年間滞在した。語学を学び、新しい友人を作りながらこの街に馴染んでいく中で、日本とは全く異なる文化を楽しむ一方、私とこの街の住民が共有しているものが「ミュンスター」という場所そのものしかないことを感じた。この経験を基に、ミュンスターを題材とし、私自身と鑑賞者がこの街で体験したこと、その差異を共有する装置として、この作品を制作した。
 この作品では、私がこれまでフィールドワークを行ってきた場所をモチーフにしたオブジェクトと、ミュンスターの地図を模したインスタレーションをミュンスター大学構内に設置した。その中で、日本人の俳優によるパフォーマンスを行った。パフォーマーは、作者と鑑賞者を仲介する存在として位置づけられる。彼は日本人として私とは異なる体験を語り、その内容を地図上に書き込んでいく。パフォーマンスの後、鑑賞者も地図の中に入り、自身の体験や記憶を書き加えていくことで、作品が形作られていく。
 三日間のパフォーマンスの中で、作品はパフォーマーや鑑賞者だけでなく、天候の影響を受けながら変化していく。このプロセスは、私のこれまでの経験がミュンスターの風土や人々によって上書きされていくことを可視化し、それを観測する行為である。この作品を通じて、異なる文化の中で生まれる共通点とズレを探りながら、場所や記憶がどのように共有され、再解釈されるのかを問いかけている。